連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.1

カルーアミルク

バー・スタイリスト MAC ROMANCE


2007/08/01

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私が一番最初に出会ったカクテルはカルーアミルクだったと思う。20代の頃、西麻布交差点付近のクラブで仲間に酒を買ってきてくれと言伝されたのがそれだった。かるうあみるく?その呪文のような名前を告げて私が受け取ったその飲み物は、酒といえばビール、そうでなければウイスキーぐらいしか知らなかった当時の私にとっては、ずいぶん軟派でちゃらちゃらした代物であるように感じられた。それを手にしていることが何だか気恥ずかしかったことを記憶している。結局その時は、そのちゃらちゃらした飲み物を友人に運んだだけで、実際に味わう機会は逃してしまった。以来20年になるけれど、そこで逃したチャンスは今だ失ったままである。つまり私は生まれてから一度もカルーアミルクを飲んだことがない。

カルーアミルク

カルーアミルクの作り方は極めてシンプルで、氷を入れたグラスにカルーアコーヒーリキュールを注いで牛乳で割るだけ、輸入販売元のサントリーによると、カルーアとミルクの割合は1:3がパーフェクトとされている。私はバーテンダーだから、これまでに何百杯ものカルーアミルクを作ってきたが、正直なところこの1:3の黄金比率に忠実に従ったカルーアミルクを作ったことはないと思う。一度も飲んだことがないものを処方にもしたがわずに調合しては、すました顔でお客に提供しているのだから、我ながらいいかげんなものである。まあカクテルなんてものは、そもそもその程度のいいかげんなものだと私は思っているのだけれど、そんなことを言ったら怒りだす人がたくさんいそうで怖い。

カルーアミルク

そんな私ではあるけれど実はバーテンダーとしてサントリーと仕事をしたことがある。しかもよりによってカルーアに関係する仕事、カルーアの美味しい飲み方を小冊子にまとめた、名付けて「カルーアブック」というのがそれで、60種類にも及ぶ数々のカルーアカクテルをたった2日間で撮影するという強行スケジュール、その際のカクテル作りを私めが担当した。写真撮影用なのだから材料はコーヒー牛乳でも、絵の具を溶いた水でもよかったし、霧吹きで水滴をつくるとかのテクニックを使えばもっと楽に作業が進められたと思うんだけど、それでは私が呼ばれた意味がない。突如として湧き出てきた使命的芸術家魂にめらめらと火がついて、結局サンプルから何からすべて本物を作ることになった。結果、非常にタフなフォトセッションとなり、自らの首を絞めることになったのだけれど、さすがに仕上がりはすばらしかった。もちろんスタイリストのセンスとカメラマンの技量があってのことだけれど、あれ程ライブ感のあるカルーアミルクの写真は他ではちょっとないと思う。それらの写真の一部は今でもサントリーのホームページなどで使用されているようだから興味がある方にはぜひチェックの程。

今回は以上。話にご期待のようなオチはない。オチのない話をだらだらとし続けるのが私のスタイルである。


マックロマンス(MAC ROMANCE)

マックロマンス(MAC ROMANCE)

1965年8月東京生まれAB型。1983年単身渡英しプロミュージシャンとして活動する。1988年帰国、バーテンダーに転身。1993年東京都目黒区自由が丘に「プースカフェ」を開店、自ら店に従事する。2003年バースタイリスト活動を開始。バーのプロデュース、カクテルブックの制作など多方面のフィールドで独自スタイルのバーワークを展開... 続きを読む




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