澤谷美幸(Miyuki Sawatani)
エコテスト(株)マネージングディレクター。社員は「女性かつ環境を専門にした大学院卒に限る」というセクシー企業。NPO法人菜の花プロジェクトネットワーク・東京ブランチ、日本社会情報学会ISAC研究部会・事務局も勤める。
エコテスト株式会社マネージングディレクター 澤谷美幸
2007/08/09
唐突ですが、「タツノオトシゴ」の住処をご存知ですか。あの特徴的な尻尾は「アマモ」と呼ばれる海草(海藻と区別される)に巻きつくためのものなのです。アマモと言う名前は、地下茎を噛むと甘みがあることに由来するそうです。「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ(竜宮の乙姫の元結の切り外し)」と言うロマンティックな別名を持ち、植物の中で最も長い名前としても知られています。そんなアマモを繁殖させることで東京湾の再生を目指す、という取り組みが広まっています。
夏休み真っ只中の7月28日。蝉時雨の中、早朝からお弁当持参で家族や大学生カップルなど約150名が城ヶ島に集合しました。この日は、東京湾再生活動を目指した協働組織『金沢八景−東京湾アマモ場再生会議(http://www.amamo.org/
)』の年間行事の一つ「アマモの種子選別」の日。アマモは、「海のゆりかご」「稚魚のゆりかご」とも呼ばれ、魚の餌場や産卵場所、稚魚の隠れ場所になっている一方、地下茎が富栄養化の原因となる窒素・リンの固定を行い、光合成で海水に酸素を供給しています。沿岸域の埋め立てや水質汚濁などによって、アマモが生息できる浅場や干潟が全国的に減少するなか、金沢八景の野島(横浜市)で地道な復元活動を続けています。
アマモ種子選別に集まる子供たち
毎年この暑い時期に行う作業はとてもとても緻密なもの。5月と6月に海から集めたアマモの花枝から採取した米粒程度の大きさのアマモの「種子」を、ゴカイやごみなどの有機物からピンセットでよりわける作業。一見、高尚な作業のように聞こえるかもしれませんが、実はただの力仕事?!屋外に設置された机上にあるシャーレに向かって、一粒ずつ手作業で種子をつまみだしていくのです。今年の目標は30万粒!最初は皆さん意気揚々&和気あいあいとおしゃべりをしながら、他人の選別スピートも気になりながらの選別作業。数時間が経過し作業が終了する頃には、「一粒何円もらえたら続けられる?」「ここにスイカやビールのサービスがあれば儲かるよね」、「今シャンパン飲めるなら、1万円払っても良いよね」などという、愚痴めいたおしゃべりに変化。毎年みられる同じ光景です。それでも帰り際には、「これで東京湾がきれいになった」などと口にしながら、誰もが笑顔ですがすがしい気分で帰路に着きました。なぜ?こんな地味な作業をするために集まる人々が増加してきている訳は?
実はこの活動の中心メンバーである「海をつくる会」や「NPO法人海辺つくり研究会」はわが国でも最先端の知識と技術を有する海の専門家を抱える強烈な市民集団。しかしながら市民活動としての「ムーブメント」を作り出す必要性も強く意識しています。アマモの種子選別は、専門家でも、初心者でも、子供でも、誰がやっても根気と集中力の勝負。なにせ包丁ならぬ、ピンセット一本でシャーレに向かって孤独な作業をするだけですから。こうした活動だからこそ、誰もが平等に環境への貢献を実感することで、当事者意識を持つことができる、そんなところに老若男女を問わず市民を惹きつける魅力があるのです。今や国内外から、問い合わせや技術指導を求める依頼が殺到しています。メンバーの一人は何とチュニジアにも招かれたとのこと。それでも、主役はあくまで「市民」、“やったもの勝ち”です。同じ作業を市民や専門化が取り組むことで、自然と友達も増えるのです。去年以来ご一緒させていただいている作家の山崎洋子さんも筆者たちと気さくにおしゃべりしながら夢中で作業。すごく楽しい仲間ができること請け合いです。
アマモ種子選別中!
いかがでしょう?「エコして」みる気になりそうですか?今回の現場にはおじいちゃん&おばあちゃんと孫たちもいらっしゃいましたが、大学生のカップルなども参加しており、新たなデートのプロトタイプ作りにまでなりつつある予感。理屈よりも実践、まずは自分の手で始めてみること。そんな想いを皆様に共有していただくことを目指し、今後もエコな活動のレポートをさせていただきます。次回は中山間地域での活動の事例として、「菜の花プロジェクト」をご紹介予定!

エコテスト(株)マネージングディレクター。社員は「女性かつ環境を専門にした大学院卒に限る」というセクシー企業。NPO法人菜の花プロジェクトネットワーク・東京ブランチ、日本社会情報学会ISAC研究部会・事務局も勤める。