旅行情報 温泉レビュー 【ひょっこり温泉島explorer】 Vol.3
一年中、花咲く桜
桜庵(箱根湯本)
2007/09/05
大自然と一体になった大きな風呂にじっくり浸かり、少し汗ばんだら氷水を一気飲み。そして体が冷めないうちに、井草の香る畳の上でゴロリと大の字。畳の硬さが足から肩を刺激して、凝り固まった筋肉をジンジンとほぐしてくれる。窓からは季節の虫の美しい声音が聞こえ、心も体もとろけそう。
湯に入りゴロゴロするだけの、シンプルだが得がたいような心地良さ。それを「最高の贅沢」にまで昇華させてくれる名宿が箱根にある。
耳元で鳴り響く、真夏の虫の美しき鳴き声、川の音
時は夏。青々とした緑の映えるこの季節の箱根では、都会なら突き刺すような厳しい日差しも、情緒あふれる豊かな自然を美しく演出する照明となる。そんな箱根湯本の大自然の中で、「桜庵」はひときわ輝きを増す。
桜庵は1987年設立と比較的新しく、鉄筋造りのその外観は、旅館にしてはずいぶんと堅牢に感じられる。しかし、この建築は実に巧みで、周囲の自然の恩恵を上手に取り込むことで実に“洗練された風情”を醸し出している。例えば、宿泊棟の回廊は全て竹林の中庭に面しており(桜庵には密閉された空間が極めて少ない)、陽の光や風、雨、土の匂いといったもの常に感じることが出来る。
客室は23の和室と8の洋室で構成されており、和室は全て異なった内装の造りとなっている。客間は最も小さくても14畳と十分に広く、下がり天井や行燈風の間接照明が宿泊客に安らぎをもたらす。そして、部屋の大きなガラス戸を開けると、箱根の山々が目の前に迫り、蝉、ヒグラシ、野鳥たちが調和のとれたオーケストラを奏でてくれる。その迫力と美しさは非現実的なほどで、人が奏でるどの音楽よりも感動的だ。当然、経験豊富な厨房人が手掛ける創作性ある懐石料理も、客室で自然を感じながら頂くことができる。




















