連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.5

シングルモルト・スコッチウィスキー

バー・スタイリスト MAC ROMANCE


2007/09/07

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ウイスキーといえば現在ではシングルモルトのスコッチウイスキーのことを意味する。少し前まではスコッチはおっさんの酒とされていて、バーではバーボンウイスキーが飲まれていた。有名な話だけれどウイスキーの英語表記はスコッチではWHISKYであるのに対して、バーボンではWHISKEYと、KとYの間にEの文字がはさまれていて異なる。大陸に自由を求めた移民が作ったのがバーボンウイスキーだから、スコッチウイスキーとの違いを自ら表明したかったのか、あるいは単に誰かのスペルミスなのか。ちなみにスコットランドのお隣のアイルランドで作られるウイスキーのスペルにはEが入っており、カナダディアンウイスキーはEがない。同じウイスキーでもその歴史や文化的背景によって様々なストーリーが存在する。

シングルモルト・スコッチウィスキー

という話をして食いつきのよい新人は、だいたい将来おしゃべりなバーテンダーになる。新人教育の話である。ウイスキーのEの話は本当なので、興味がある方はインターネットのほど。私自身は酒のうんちくは苦手である。意地悪な客にいろいろつっこまれるのが嫌で、酒の本を読んで勉強していた時期があった。そのうちに素直に知りませんと答えるようになった。バーテンダーを知識で打ち負かすのが彼らの目的だから、こちらが勉強すればするほどハードルが高くなっていく。そのスパイラルを断ち切るのであれば最初からゲームを放棄するのが最も有効である。戦う気のない相手と勝負をしても仕方ないから、そのような客は自然と減っていく。ある程度客を選ぶことができるのがバーのよいところである。

例のウイスキーの話に食いつくような新人は放っておいても自分で勉強する。たいていは独自のセオリーを開発して巣立っていく。そうでない新人に一生懸命いろいろ教えたところで、右から左に流されるだけで意味がないから、どのみち放っておくことになる。そのような輩が無駄になるかというと、アシスタントとしては多大な能力を発揮したりする。あるアシスタントの動きがとてもよく、それを褒めたところ、私はいつもマックさんだけを見ていますので、マックさんが何を求めているかすぐにわかります。と頼もしい答えが返ってきたことがある。いわく、お客とマックさんと同時に呼ばれたら私はお客を無視してマックさんを優先させます。なるほど。こういう人にサービス精神の何たるかなど語るのは時間の無駄、やはり部下は放っておくのが一番である。

シングルモルトのスコッチウイスキーは当然そのままストレートで飲むものだと思っていたのだけれど、少しの水でうすめて飲むのが正解らしい。水でうすめた方が味や香りが引き立つのだそうだ。何でもストレート派の私としては異論のあるところだけれど、現地の蒸留所で働く人たちが、代々そのようにして飲んでいるらしいから、今回は私の負けである。ウイスキーとの割合は1:1くらい、氷は入れないで、常温の水道水を使用しているそうである。日本ではサントリーが、数年前からハーフロックというスタイルを流行させようとして、けっこう大がかりなキャンペーンを行っている。ウイスキーの水割りのオンザロックのことなのだけれど、こちらでもウイスキーと水の割合は1:1。氷を水でリンスしたりなどいくつかの決めごとがあるようだが、どうもこれが一般に浸透しない。大袈裟に騒いだだけに引くに引けない雰囲気は他人事ゆえに滑稽に見えるが、日本の洋酒のトレンドのほとんどすべてを作り上げてきた大御所サントリーである。このまますごすごと引き下がるわけはないはずだ。ハーフロックの行く末やいかに。


マックロマンス(MAC ROMANCE)

マックロマンス(MAC ROMANCE)

1965年8月東京生まれAB型。1983年単身渡英しプロミュージシャンとして活動する。1988年帰国、バーテンダーに転身。1993年東京都目黒区自由が丘に「プースカフェ」を開店、自ら店に従事する。2003年バースタイリスト活動を開始。バーのプロデュース、カクテルブックの制作など多方面のフィールドで独自スタイルのバーワークを展開... 続きを読む





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