「まるで世界の縮図のような作品だ。」
過去の輝かしい創作活動から一転、自身にとって全く新しい創造への挑戦をしたい。それほどまでに衝撃的な変化をもたらす出会いがあった。“世界の縮図”に出会ってしまったのは現代音楽家の中川俊郎、世界を縮図化してしまったのはパパ・タラフマラだ。
中川は主にピアノ演奏による現代音楽家で、彼の作品を聴いたあのジョン・ケージも中川を絶賛したという。また、現代音楽のほか、テレビコマーシャルのメロディーメーカーとしても有名であり、サントリーやユナイテッド・アローズといった大手ブランドの“誰もが聴いたことのある”CM音楽の名作を数多く世に送り出している。(EMIミュージック・ジャパン(旧・東芝EMI)から発売されている中川俊郎のCM音楽集「Chai」は2005年に大ヒットし、それ以降シリーズ化され、既に4枚目を数えるほどとなった。)
近年に至るまで、中川の音楽家としての活動は他の音楽家と同様、演奏会とレコーディングが中心であった。しかし10年にもわたる創作の結果、自分の意思で活動していたのにも関わらず、「色んな事が自分を縛っていて、それは本当の意味での自由な創作活動ではなかった」と気付いたという。まさにその時、パパ・タラフマラと出会うことになる。そして中川は「自分も、世界の縮図のような音楽を作りたい」と考えるようになった。
しかし、パパ・タラフマラとの出会いは、中川の運命に想像以上のインパクトをもたらすことになる。中川は音楽という既成の「枠」から飛び出してしまったのだ。即ち、2001年に上演されたパパ・タラフマラ本公演「WD」にて、中川は本物の舞台に出演することとなる(しかも女装)。以後、2002年「Birds on Board」、「未来の空隙は響き」では立て続けにパパ・タラフマラの舞台音楽を制作した。
その中川俊郎×パパ・タラフマラが繰り広げる4つ目の作品が「トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡」だ。本作品では、中川俊郎は“中川俊郎楽団”として、中川ほか4名のミュージシャンが公演内で荘大な生演奏を繰り広げるとのこと。当然、“単なる演奏”だけではない、スリリングな展開も期待したい。
中川によれば、「本作での音楽的なテーマは“メロディ+現代音楽”。言い換えれば、“制約”と“自由”のバランスを取ること」であり、まさに現代音楽家、そしてCM音楽のヒットメーカーとしての真骨頂たるサウンドを耳にすることが出来そうだ。
「パパ・タラフマラは、世界中で起きていることをそのまま提示していた。まさにそのまま。善悪の判断を行っていない。パパ・タラフマラの舞台は、自分を映す鏡のようだった。」
パパ・タラフマラの本質をこのように語る中川が、どのようにして自身の作品を舞台に重ね合わせていくのか、注目だ。(Written by Kersol)
photo by Satoshi Aoyanagi
■公演情報
国内新作公演 「トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡」
2007.10/2(火)から10/7(日)、アサヒアートスクエア(東京)にて。詳しくはこちら。
国内改訂版公演 童話シリーズ第二弾! 新 パパ・タラフマラの「シンデレラ」
2008.2/10(日)から2/17(日)、ザ・スズナリ(東京)にて。