小西康隆(Yasutaka Konishi)
株式会社インタープラネット プロデューサー。1960年2月、北海道生まれ、渋谷育ち。
10年間のサラリーマン経験の後、バブル経済終焉の'91年に起業。広告制作、生活雑貨のプロデューサーとなり、趣味で始めたバーをきっかけに飲食プロデュースを多く手がけるようになる。現在は飲食店経営の他、広告・ブランディング... 続きを読む
(株)インタープラネット プロデューサー 小西康隆
2008/03/24
九州では、何処の店でも家庭でも焼酎を振る舞ってくれる。東京では氷に入れてロック・スタイルで焼酎を飲む方々が多いのだが、焼酎の本場では大抵が水で割って呑む。それも、ボトルの半分位を別に移し、其処へ予め割り水を入れ一晩程寝かせるのである。
此れを熱すぎず少しぬるめに温めて呑むのが美味しい。本格麦焼酎「高千穂」も麦の芳醇な香りが温める事で、より一層広がり何とも言えない程良い味わいに成る。
九州と云う土地は本当に此の「焼酎」と云う酒に対する思い入れが強い所だと感じる。佐賀県の有田では、通称「伊万里」と呼ばれる有田焼きが盛んな地域である。古くから沢山の窯元が磁器を制作しているのだが、其の後継者とも云うべき若い有田焼きの窯元たちが勢揃いして、次世代に残せる「新スタンダード」を作ろうとスタートした「陶”楽座」(どうらくざ)と云うプロジェクトが在る。
彼等が何度も試行錯誤しながら作り上げた新しい磁器が「香酒盃」と云う、焼酎用の湯呑みなのだ。これは今、大変話題になっていて、お洒落なバーや居酒屋さんでは、この「香酒盃」で焼酎を出すのが流行っているそうだ。さて、この「香酒盃」は、何が面白いかと云うと、普通のグラスや湯呑み茶碗よりも、焼酎の香りがちゃんと立ち上るような構造になっているのある。これは「陶”楽座」の窯元さん達が、研究に研究を重ねて開発したものだそうだ。よくよく見ると内側がワイングラスのように丸くなっている。此れが飲む時に、香りを際立たせるポイントなんである。また、足が三本足になっていて、コースターにくっつかない粋な工夫も施されているのだ。
こんな素晴らしい湯呑みが有るだけで、香り高い本格麦焼酎が一段と美味しく味わえるのである。この「香酒盃」だが、1個1850円くらいからと比較的安くて購入可能なのも嬉しい限り。九州だけじゃなく、有名百貨店などでも手軽に入手出来るので幾つか柄違いで集めても愉しいだろう。
そして、今度は鹿児島県から、「お湯割り焼酎を作る」為のとっておきのアイテムを紹介しよう。其の名は「黒千代香」(くろじょか)だ。おそらく東京に居る方は殆ど誰も知らないのではないか。
黒千代香は、鹿児島に昔から伝わる焼酎の燗付け器だ。左手に猪口(ちょこ)右手に「ちょか」を持ち、これを絶えずとろ火で暖めながら焼酎を飲むのが通人だそうだ。「ちょか」は琉球王朝時代の沖縄に有った酎家(ちゅうかあ)成るものが鹿児島で「ちょか」となったらしい。 鹿児島の「ちょか」は、持ち手に蔓(つる)を用いるのが特徴だ。
美味しい燗焼酎の付け方だが、先ず呑む3、4日前に前もって割り水を足して寝かせる。割り水の分量はそれぞれ好みに応じれば良いが、本場の方に伺うと焼酎5に対し水が5だそうだ。一晩寝かすことで焼酎と水が馴染み、味も香りも可成りまろやかになる。其れを「黒千代香」に入れ、沸かしたお湯で湯煎して人肌ほどの温かさに温めるのだ。直接火にかける際は遠火で、ガスコンロの場合はとろ火で温める程度が良い。温め過ぎると折角のコクや香りが台無しになるので気を付けたい。最高の焼酎の味を求めて、労を惜しまず作るのだから、此れは美味いぞ。
さぁ、宮崎県が誇る本格麦焼酎「高千穂」を鹿児島で慣れ親しんだ「黒千代香」を用いて最高のお湯割りを作ろうじゃないか。そして、佐賀県有田焼きの「香酒盃」でじっくりと味わうのだ。口元に近づければ、「高千穂」の芳醇な麦の香りがグラスの中で廻り、素晴らしい香りと味を愉しめる。
目で楽しみ、香りを楽しみ、舌で其の美味しさを楽しむ。今宵、我が手の中に九州がまるごと治まった様な気分である。
宮崎県高千穂あたりでは今も裏山などで猪を仕留めるそうである。猪鍋を食べながら、皆で呑む「高千穂」のお湯割りは最高だ。そして素敵な酔い心地を堪能した。

株式会社インタープラネット プロデューサー。1960年2月、北海道生まれ、渋谷育ち。
10年間のサラリーマン経験の後、バブル経済終焉の'91年に起業。広告制作、生活雑貨のプロデューサーとなり、趣味で始めたバーをきっかけに飲食プロデュースを多く手がけるようになる。現在は飲食店経営の他、広告・ブランディング... 続きを読む