連載コラム ライフスタイル 【MEXICO RICO! 豊かなメキシコの大地から】 Vol.3

メキシコシティ Santa Fe (サンタ・フェ)地区〜ゴミ捨て場から近未来都市へ

株式会社グローバル・コメルシオ 代表取締役社長 木村謙介


2008/03/27

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メキシコシティ(以下、D.F.)で、今一番熱いエリアが、メキシコシティの南西部に位置するサンタ・フェ地区(Santa Fe)。近年では外資系の企業などが続々とこの地にオフィスを構え、高層ビルの建設ラッシュに沸くD.F.で今一番活気のあるエリアとなっている。(※D.F.とはDistricto Federal【連邦地区】を意味し、メキシコシティのことを指す)

「歴史地区(Centro Historico)」に代表されるコロニアル地区とは全く趣を異にし、近未来都市D.F.の姿がそこにはある。実際に見た印象としては、さしずめ開発ブームに沸いていた千葉県幕張エリアといったところか。

オフィスエリアだけではなく、D.F.で最大のショッピングモール(Comercial Centro)も有し、近々「サックス・フィフス・アベニュー」の進出も予定されているという。レジデンスエリアや3つの大学のキャンパスもこのエリア内にある。

日本のトラベルガイドなどでは、まだ紹介されることはほとんどないようだが、すでにお隣アメリカでは、最新スポットとして盛んに取り上げられている注目エリアである。

しかし、このエリア驚くべきことに、一昔前までは、なんとゴミ捨て場だったのである。

ゴミ捨て場から近未来都市へ

Santa Fe 中心部 Santa Fe 中心部

契機は1985年、D.F.を襲った大地震であった。この大地震でD.F.の中心部は壊滅的な被害に遭い、人々は地盤が緩く人口飽和状態にあった中心部から郊外の丘陵部へ移り住むようになる。1990年代初頭には、建築家、都市計画者、エンジニアという学際的な集団による開発プロジェクトがスタート。彼らは街でもっとも劣悪な状況にあったゴミ溜め場のエリアを、ロマ・デ・チャプルテペックのようなD.F.で最も「高級」なエリアへと変貌させようとしたのである。

サンタ・フェが注目を集めるようになるのは、世紀が変わり2000年を迎えてから。モダンな建築やそこに住む人々のハイスタイルな生活が脚光を浴び、ビジネスの新たな中心エリアとして認識されるようになった。

現在、サンタ・フェの開発プロジェクトは最終段階にあると言われている。多くのオフィスや高層マンション、45階以上の建物も多く、国際的建築の見本市といえるほどの様相を呈している。まさに、ゴミ捨て場から近未来都市へ見事な変貌を遂げたといえよう。


近未来都市の光と影

Torre Arcos Bosques Torre Arcos Bosques

Hex Tower Hex Tower(2009年完成予定)
出典:Mexico City architecture & design, teNeues

しかし、このサンタ・フェの開発に対して批判があることも事実である。交通機関や道路などのインフラの不整備によって、サンタ・フェは周りの世界とは隔離された「イスラ(島)」のような状況に置かれ、さらに人々の生活の質は必ずしも向上はしていない(むしろ下がっている)というのだ。そこには都市開発の功罪が見え隠れする。人間の存在を無視した人工的な都市開発は、ここサンタ・フェにも当てはまるのかもしれない。

そのような批判があるにせよ、実際にその地に足を運んでみると、やはり現代建築群の迫力に圧倒される。ここがメキシコか、と思うほど。

ぼくが訪れたのはちょうど夕暮れ時。チャプルテペックから延びるハイウェイの彼方に沈む夕日と超高層ビルたちのコントラストが非常に美しかった。しかし、どこかきれいすぎて、いわゆる「メキシコ」とは全く違った表情をもっていることに多少の違和感を抱いた。人間臭さが希薄というか。

しかし、多様な姿こそメキシコの姿。あらゆるものを取り込んでいくそのエネルギーこそが、メキシコが前へ前へと進む力となっているのだろう。「メキシコはこういったもの」という固定観念から離れることが、メキシコを見つめるためにまず求められているのかもしれない。

そして、何もないところから、何かを作り出してしまうパワー、これもメキシコらしいと言える。「仕事がないなら、新しくつくればいい」。路上の物売りやパフォーマーたちを見ていると、そのバイタリティにいつも驚かされるのだ。

サンタ・フェにもそんなメキシコのエッセンスが表れているのかもしれない。ゴミ捨て場からこの街を作り上げたパワーは素直に凄いと認めざるを得ない。この街でまた大切なことを教えられた気がする。

最後に、前回サンタ・フェを訪れた時に行ったレストランをご紹介。

店内は吹き抜けで解放感があり、非常にゆったりした雰囲気。もちろんテキーラのメニューも豊富で高級テキーラの数々を味わうことができる。

Restaurante Guria Santa Fe
Torre Acuario, Av. Javier Barros, Sierra 55, Santa Fe
http://www.pascalarquitectos.com

先日、仕事でインドに行っていました。インドとメキシコ、実は意外と共通点が多いことにびっくり。次回は、インドとメキシコに関してお話します。


木村謙介(Kensuke Kimura)

木村謙介(Kensuke Kimura)

株式会社グローバル・コメルシオ 代表取締役社長。1977年6月、東京生まれ。
東京外国語大学大学院卒業後、3年間のサラリーマン生活を経て、その後メキシコ各地を渡り歩く。2007年4月に「日本とメキシコのかけ橋に」をヴィジョンに掲げ、グローバル・コメルシオを設立。現在、テキーラス・デル・セニョール社の... 続きを読む





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