旅行情報 海外 セルビア【I know "Unknown"】Vol.9
セルビア発、湧き上がる音波『EXIT Festival』
2008/04/23
今や夏の風物詩として定着した感のある『ロックフェスティバル』。南東欧セルビア共和国でもそんな『夏フェス』が毎年7月に開催されている。その名も『EXIT』。
会場となるのはドナウ川のほとりにそびえる『ペトロバラディン要塞』。かつては外敵を防御・攻撃するためにあった要塞が、今ではセルビアの人々が音楽を楽しむ場所として生まれ変わったのには驚きだ。日々刻々と変化する国際情勢の中にあって『EXIT』はまさに“難攻不落”の音楽イベントといえるかもしれない。過去の出演者には『Underworld』、『Massive Attack』、『Morrissey』、『Lauryn Hill』などの豪華な顔ぶれが揃い、8回目となる今年も『Paul Weller』、『Primal Scream』をはじめとする大物アーティストの出演が予定されている。
いにしえの戦いを彷彿とさせる12000もの銃眼が空けられている元要塞を舞台に、各国を代表するアーティストが自由なメッセージを歌い上げ、世界中から集まった音楽ファンとひとつになって盛り上がる。
ドナウのほとりに広がる自然と国境なき音楽が『EXIT』という祭りを通して、愛と平和のVIBESを生む。
人と自然と文化がコミットする『新しい庭』
彫刻家やデザイナーのアトリエもあるペトロバラディン要塞
夕暮れとともにライトアップされるカトリック大聖堂
ドナウ川のほとりに広がるセルビア第2の都市『ノビ・サド(Novi Sad)』。ノビは『新しい』で、サドは『庭』という意味を持つ。比較的若い街でありながらセルビアの主要交通網の交差点という側面と、豊かな自然と文化という側面の両面を併せ持つノビ・サドは、まさにセルビアの『新しい庭』。多様性に富んだ人種で溢れるこの街のたたずまいは、ベオグラードとは趣が異なる。
中心部にはカトリック 、セルビア正教会、ユダヤ教それぞれの教会があり、異なった宗教文化が共存する。また、博物館やギャラリー、レストランやブティックなども多く昼夜を問わず賑わっている。ドナウ川までも近いので、地図を持たずに街をそぞろ歩きするのも楽しい。
EXITの会場『ペトロバラディン要塞』はドナウ川沿いにあり、期間中の岸辺は、テントを張ってのんびりとキャンプを楽しむ人々や、水着になって川ではしゃぐ人たちで溢れている。思い思いにEXITを楽しむ人々に混じって、セルビアの音楽祭を満喫してみたい。
『歴史』という縦糸と『現在』という横糸が織りなす街ベオグラード
ノビ・サドから南へ80km。ベオグラードはサバ川を挟んで『旧市街』と『新市街』に分かれる。とりわけ、旧市街の中心に位置する『カレメグダン公園』の丘からの眺めは素晴らしい。眼下ではドイツの黒い森が水源のドナウ川と、スロベニアやクロアチアを流れてくるサバ川が合流し、川幅をさらに広くする。雄大な眺めと緑の樹木に囲まれた風光明媚なこの公園はたくさんの人々を惹きつけてやまない。
ベオグラードの歴史は古く、紀元前3〜2世紀にはすでにケルト人が住んでいたという記録もある。この地は昔から多くの民族が戦火を交えることもあれば、平和に共存してきたこともあり、時代の映し出すコントラストが強い土地である。
カフェから聴こえる笑い声が街のBGM
カレメグダン公園から直結して伸びているベオグラード最大の繁華街に『クネズ・ミハイリヴァ通り』がある。歩行者天国のこの通りを歩いていると、とにかくカフェが多い。「人口1人頭に対するカフェの割合が世界一」というのも納得してしまう。セルビアの習慣に『コルゾー』というものがある。街を「そぞろ歩く」といった意味のこの習慣は、のんびりと散歩やおしゃべりを楽しむことが大好きで人懐っこいセルビアの人たちの性格がよく表れている。
ベオグラードという街は、多様な歴史が織り重なって出来ている。この土地に生き続けてきたものでなければ織り上げることのできない生地を、今も織り続けている。(Written by Ai Ohara)
写真提供:セルビア観光局、ベオグラード観光局









