マックロマンス(MAC ROMANCE)
1965年8月東京生まれAB型。1983年単身渡英しプロミュージシャンとして活動する。1988年帰国、バーテンダーに転身。1993年東京都目黒区自由が丘に「プースカフェ」を開店、自ら店に従事する。2003年バースタイリスト活動を開始。バーのプロデュース、カクテルブックの制作など多方面のフィールドで独自スタイルのバーワークを展開... 続きを読む
バー・スタイリスト MAC ROMANCE
2008/05/02
久しぶりにアホ飲みして二日酔いになった。二日どころか三日目になっても起き上がることができず、四日目にようやく床から出たのだけれど、めまいがひどくて立つのがやっとというありさま。めまいなんて42年生きてきて全く経験がなく、もしや酔っているあいだに頭でも打ったのではないかと心配になって病院に行って頭の検査をしてもらった。幸い脳には何の異常もなく薬をもらってひとまず落着。反省して、というより何だかこわくなって、以来ひとくちも飲んでいない。こうなってくると深酒も命がけである。
思えば最近二日酔いになる機会が減った。体調がよろしいときはいくら飲んでも翌日まで酒が残らず、逆に不調のときは少し飲んだだけで寝てしまうので、結果的に翌日まで引っぱることが少なくなったのだと思う。決して酒に強い体質ではない私の体が年月をかけて飲酒に対応し、私の行動をコントロールするようになったのである。私の体は私の頭よりもずっと立派なのだ。
二日酔いにならないための方法はいくつかある。酒といっしょに水をたくさん飲むのがそのうちのひとつで、例えば1杯のワインを飲んだら水を3杯、という具合にこまめに水分を補給すれば、けっこうな量を飲んでも二日酔いは回避される。バーカウンターでもときおり水をがぶ飲みしながら酒をあおる輩を見かけることがある。翌日の心配をしながらそこまで酒を飲む必要があるのか首をかしげたくなってしまうけれど、思うに「飲みたくもない酒をつきあいで飲む」という古くからの習慣が人をそのような不自然な行動へ導いているんじゃないかしら。慣わしに従うのに反対はしないけど、それなら堂々と翌日の苦痛まで受け入れるべきであろう。そうでなくともバーで水をがぶ飲みするぐらいだったら、最初からアルコールフリーの飲み物を注文する方がずっとスマートだと私は思う。
さて、二日酔いになってしまったら。その苦痛を軽減させる方法も、やはり水分補給の他にない。とはいえ人が一度に飲める水の量には限界があり、さらには飲んだ水のうち体内に吸収されるのはほんの一部である。確実なのは点滴を打つことだろうが意識でも失わないかぎりは病院では相手にしてもらえないはずである。結局、時間が経過して毒素が体から抜けるのを待つしかないのが実情である。
問題を解決するのではなくて、とりあえず先送りしたいということであれば迎え酒は有効である。もっとも冒頭の私のように、昼から早朝まで飲み続けたあげく嘔吐しながら帰宅というような状態では何をやってももう手遅れだろうが、起床して少々辛くとも飲めるようなら飲んじゃえばよいのである。
おすすめはレッドアイ。ビールをトマトジュースで割っただけのシンプルなカクテルだけど、これを生まれてはじめて飲んだ時は本当に感動した。それはトマトジュースにもビールにも、これまでに飲んだどんな飲み物にも似ていなかった上に非常に美味で迎え酒にぴったりの飲み物だったからである。さらにはそのネーミング。その赤く泡立つ飲み物の様相はまさに二日酔いの朝の赤目、タイトルとイメージとテイストとストーリーのすべてが見事に合致していてすばらしい。飲み物にわざわざ意味を求めるのであればこうでなくてはならない。
レッドアイはバーカウンターでもポピュラーなアイテムで、気軽なロングドリンクとして普通に注文されることが多い。時間やルールや既成概念にとらわれず、好きな時間に好きな飲み物を好きなように飲めばよいと常日頃から口にしているけれど、私はレッドアイを夜のバーで飲むのはあまりかっこいいと思わない。
出張のビジネスマンあたりが午前中のフライトでカフェオレがわりにこれを飲んでいたりしたら、「おっ。やるねっ。」と思ってしまうかもしれない。
photo by SATOSHI KINOSHITA

1965年8月東京生まれAB型。1983年単身渡英しプロミュージシャンとして活動する。1988年帰国、バーテンダーに転身。1993年東京都目黒区自由が丘に「プースカフェ」を開店、自ら店に従事する。2003年バースタイリスト活動を開始。バーのプロデュース、カクテルブックの制作など多方面のフィールドで独自スタイルのバーワークを展開... 続きを読む