連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.44

おいしい水(1/2)

バー・スタイリスト MAC ROMANCE


2008/06/13

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私ごとで申しわけないが先週祖母が他界した。享年98歳の大往生だった。危篤と言われてから何回も持ちかえしたせいで、このひと月は病院のある成田と東京の間を何度も行ったりきたりした。

東京から成田へ行くのにいくつかのルートがあるが、首都高速を使っても下道でもたいていはレインボーブリッジを渡る。レインボーブリッジの橋の片側は東京港、もう片側は台場を通じて海へとつながっており、都心のビル群と海の組み合わせによる近未来的な景色は何度見てもあきることがなく、窓を開けて風を受けながら橋を疾走するのはとても気持ちがよい。

橋から海側を見下ろすと、台場のビーチが海に向けてひろがっているのが確認できる。お台場海浜公園と呼ばれるそれは入江を利用して作られた人工ビーチで、台場を代表する観光スポットとして、訪れるカップルや家族連れたちの憩いの場になっているほか、テレビドラマなどの撮影地としても度々活用されている。

海浜公園の名の通りビーチで水遊びを楽しむことができるが、残念なことにそこは全面遊泳禁止とされている。安全性やその他の理由もいろいろあろうが、要するに人が泳ぐには水が汚すぎるのである。実際に海水は泥のように濁っていてケミカルな匂いがする。まともな人間だったらとてもそこで泳ぎたいという気分にはならないと思う。東京都もオイルフェンスを張ったり、浄化海水の放流実験などを行なっているようだけれど、それこそ砂漠に水を撒くような作業に違いない。

で、私はその台場の海で泳いだことがある。酒に酔ってのアホな行動ではない。海の日(7月の第3月曜日)を記念して開催されたトライアスロン大会に出場したのである。水泳+自転車+マラソンというトライアスロンが過酷なスポーツであることは周知の通りだけれど、台場の大会はそれに輪をかけて酷だった。その理由のひとつがこの海の水質の問題。他の選手たちと格闘技ばりのバトルをくり返しながら1.5キロも泳げば誰だって一度ぐらいは水を飲む。東京じゅうの汚水が集まったような海の水である。スイムが終わった時点で早々と戦意を喪失している選手も少なくなかった。いずれにしても胃腸の弱い人はこの大会に参戦するのはやめた方がよかろう。よく都が開催を認めたものだと思う。

必死の形相で水泳を終え自転車に乗って街に飛び出した選手らを次に襲うのが東京の夏の猛暑。台場は海浜公園のみならず、基本的に人工の街である。よく整備されているのはよいが、路上には緑が少なく、アスファルトからの照り返しをもろに喰らうために、選手らが走るコースは灼熱地獄と化す。とくにレースが終盤のランに差しかかる頃には太陽は頭の真上、容赦なくふりそそぐギラギラ太陽と足元からの熱気に悲鳴をあげて、トライアスロンでは比較的短距離のショートタイプ(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km)の大会にも関わらず、多くの選手たちがリタイアを余儀なくされるのである。




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