西村陽(Kiyoshi Nishimura)
大阪大学大学院工学研究科客員教授(ビジネスエンジニアリング専攻)、関西電力企画室・秘書室マネジャー。1961年富山県生まれ。1984年一橋大学経済学部卒業、関西電力で調査、戦略、環境等を担当。1999〜2001年学習院大学特別客員教授。
主著に『電力改革の構図と戦略』... 続きを読む
大阪大学大学院工学研究科客員教授 西村陽
2008/06/24
5月に神戸で行われたサミット環境大臣会合は、結局利害の対立する各国が今一つ合意点を見出せずに終わり、併せて行われたこども環境サミットの方がむしろ注目を集めたが、同じ時期に少し離れた神戸市立中央体育館で「環境フェア in 神戸」という連動イベントが行われていたことを知る人はかなり少ないのではないだろうか。
5/23〜26の4日間行われたこのイベントには合計80余りの団体・企業が参加し、それぞれが売り出し中、あるいは研究開発中の環境・省エネルギー技術を紹介していた。そもそも一般来客が多く見込めなかったためか、展示もパネルを張って、一部簡単な模型が置いてあるだけの小さなブースが多く、実際に開発した当事者が説明してくれるという手作り感満載のイベントであった。そして地味な展示にかかわらずこれがそれぞれなかなか面白いのである。
同志社大学のある研究室は、事務所で使われる照明機器の照度を必要レベルまでコントロールして電力消費を抑えるために、メーカー数社と協力し、要求される照度と機器操作のアルゴリズムを組んで検証した結果を発表していたが、これが日本国内はもちろん、例えば夜中も煌々と最大出力で使い続けられる米国のビルすべてに適用されれば、莫大なCO2排出削減につながる。
またJR西日本は、もともと電車のブレーキ時の発生電力を架線に戻す回生エネルギーを重要な省エネ手段として力を入れているが、新快速の敦賀乗り入れ(直流化)に伴って増設した新疋田変電所に1000kW規模のリチウムイオン電池を新設し、回生エネルギーの有効活用に役立てている。大容量電池技術の開発と実用化は今後プラグインハイブリッド自動車や太陽光発電の普及に不可欠なものであり、今後の応用範囲は大きい。
さらに、日本を代表する環境技術であるヒートポンプ冷凍機・空調機でも様々な革新が続けられている。特に食品工業をはじめとする冷熱分野用のシステムでは、代替フロンであるアンモニア、二酸化炭素の組み合わせによる効率向上、冷媒の搬送動力を自然循環に近づけることによる省エネ等、使われる場所に合わせた細やかな技術の積み重ねが新たな温暖化対策のフロンティアを広げている。
新しい環境技術が集い、その技術の買い手を含めた関係者が集うこうしたイベントは、一種「環境のドラフト会議」とも言える。ここで有力選手をスカウトし、鍛え、活躍の場を与える球団、この場合は企業や行政、ひいては国全体が地球温暖化対策というリーグ戦を有利に進めることができるのだ。今後こうしたイベントが各地で開催されることも増えるだろうし、皆さんも一度足を運んで有望選手を見定めてみてはいかがだろうか。

大阪大学大学院工学研究科客員教授(ビジネスエンジニアリング専攻)、関西電力企画室・秘書室マネジャー。1961年富山県生まれ。1984年一橋大学経済学部卒業、関西電力で調査、戦略、環境等を担当。1999〜2001年学習院大学特別客員教授。
主著に『電力改革の構図と戦略』... 続きを読む