連載コラム ライフスタイル 【小西康隆の『小粋の哲学』】 Vol.17

人を育てる事で、仕事は大きく広がっていく。(2/2)

(株)インタープラネット プロデューサー 小西康隆


2008/06/30

クリップする

カーソルの読者の皆さんは、きっとこれから部下を持ち、人を育てて行かなければならない立場の方々が多い事だろう。会社、組織の中には実に沢山の連中が居ると思う。仕事が出来る奴、出来ない奴、と云う分け方は非常に難しいのだ。ただ、何に適しているか、どんな能力を兼ね備えているかは、先ほど僕が述べた様な事例で大体は把握出来ると思っている。大風呂敷広げて、ハッタリをブチ咬ませる奴はプレゼンが得意だろうが、一対一の交渉力は苦手だったり。業務の進行や段取りが組めず、スタッフから怒られ罵倒されても打たれ強く、5分もすればケロっとしている奴なんかは、クレーム対応をやらせればきっと適任だろう。営業を任せたのも自分だし、交渉をさせたのも自分である。

部下が十人居たとしたら、仕事が一番出来る(と思っている)奴と十番目の奴を組ませると良い。十番目と九番目を組ませても、どちらも後ろから支えてやれないのだ。仕事は誰かが支えてやって、身をもって体験させる事で肌で覚えて行くのだ。だから、僕は一番出来る奴に一番足を引っ張る奴の面倒を見させる事にしてきた。そして、皆の前で厳しく叱るのも一番目の奴なのだ。

海に潜るダイバーが、この方式を取って行動している。未知なる海の中では何が起こるか全く予測不可能なので、組んだ二人ともが事故を起こしてしまっては大変な事になる。それだから、一番と十番目を組ませる事にしているそうだ。

戦国武将、武田信玄の軍が強かったのは微力の兵士に必ず強い兵を当てがい、戦のフォローをさせていたからだと、聴いたことがある。これと全く一緒だね。社会の中に出て、沢山の人を使いこなして行く様になると、人で悩まされる事が多くなってくる。僕だってそうなのだから。

最近、ずっと悩んでいた事柄があったのだが、改めてこの事を考え直し、昔の自分の事を思い出したら、スーッと悩みの根源が理解出来たのだ。人を過信してはいけないし、出来ると思っては駄目なのである。その逆だと思って常にフォローするか、フォロー出来るレベルの者を一緒のチームにして、後ろから支えてあげなくては駄目なんだね。

こうやって、若い人材を育成しながら、自分の仕事をどんどん任せて行くのだ。どうせ、失敗したって僕の責任なのだ。その前にしっかりとチェックし、フォローし助けてあげる事で人は大きく成長して行く。多少の事は多め目に見て、任せ切って見るのも良い。但し、任せたその人間がどんな人物なのかは、しっかりと把握した上で、だけれどネ。

今回は自分の悩みを解決しつつ、皆さんにも伝えたくなって書いてみたのだ。厳しい世界を乗り越えて、次へ進んで行こうとする者はちゃんと成功して行く。現場で大いに学び、肥やしにしたら、新たな未知なる世界へと飛び出して行く。独立していく者ほど、そんなものである。

僕も若い頃は、十も二十も歳上の連中から厳しく可愛がって貰ったものだ。そして、必ず彼等から同じ事を教えられた。「もし、お前さんがこの先成功を収めたら、俺らはそれだけで十分なのだ。それでこそ、教え甲斐が有ったってもんさ。そん時、俺たちに恩返しなんて考えなくてイイぞ。そんな余裕が出て来たら、大昔自分がして貰った事を、そっくりそのまま若い世代に教えてやることだ。」と。筋金入りの大人たちは、こんな所まで「粋」なのだ。

人を育てる事で、仕事は大きく広がっていく。

僕のオフィスでは、毎月1回スタッフ全員で食事会をしている。飲食店のプロデュースも沢山の店を体験してこそ、自分のモノになるからだ。その場では、上司も部下も無く、検討したい議案、現状問題点、新規提案事項など各々がレジメにまとめて多数決をとり決めて行く。こんな会食ミーティングも皆が受け継いで、ずっと続けて欲しいものだ。


小西康隆(Yasutaka Konishi)

小西康隆(Yasutaka Konishi)

株式会社インタープラネット プロデューサー。1960年2月、北海道生まれ、渋谷育ち。
10年間のサラリーマン経験の後、バブル経済終焉の'91年に起業。広告制作、生活雑貨のプロデューサーとなり、趣味で始めたバーをきっかけに飲食プロデュースを多く手がけるようになる。現在は飲食店経営の他、広告・ブランディング... 続きを読む






注目の情報

一軒家レストランの迷宮

一軒家レストランの迷宮

秋の夕暮れ、一軒家のレストランに灯りがともる。そこは、ゲストを温かく迎えてくれる我が家のような空間であり、また別世界へと誘う秘密の入り口。


「モアナ サーフライダー ウェスティンリゾート」宿泊券プレゼント

高級・ラグジュアリー・富裕層向けWEBマガジン「カーソル」の特集

特集一覧