連載コラム ライフスタイル 【MEXICO RICO! 豊かなメキシコの大地から】 Vol.5
「ラ・クカラーチャ」『赤い薔薇ソースの伝説』にみるメキシコ人のパロディー感覚(1/2)
株式会社グローバル・コメルシオ 代表取締役社長 木村謙介
2008/07/17
日本でもっとも嫌われている生き物と言っても過言ではない「ゴキブリ」。個人的にはなぜそんなに嫌われてしまう存在なのかイマイチわからない。他のムシとさして変わらないのに、とさえ思います。(変わってます?)
日本では嫌われ者ですが、メキシコの文脈で見ると違った見方ができます。今回は、「ゴキブリ」と『赤い薔薇ソースの伝説』という映画を通してメキシコ人のパロディー感覚に迫ってみたいと思います。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、メキシコの有名な童謡に「ラ・クカラーチャ」があります。日本には佐々木敏さんが歌詞をつけ紹介されました。日本語タイトルは「車にゆられて」。NHKの「みんなのうた」でも紹介され、カントリー調な曲調と相まってかなり陽気な親しみやすい印象を受けます。
山のふもとまで 続いている道
森のはずれには サイロが見えるよ
車にゆられて 仕事にでかける
ぼくたちの顔に 朝日がまぶしい
ラクカラチャ ラクカラチャ
ゆらゆらゆれて
ラクカラチャ ラクカラチャ
牧場(まきば)の中の
ラクカラチャ ラクカラチャ でこぼこ道を
ラクカラチャ ラクカラチャ 車がゆくよ
このメロディーには無数のパターンの歌詞がつけられており、オリジナルの歌詞が何であるかははっきりしていません。しかし、現在でも多くのメキシコ人が慣れ親しんでいる「ラ・クラカーチャ」の歌詞は1910年に始まったメキシコ革命を題材にしたものなのです。
ラ・クカラーチャ、ラ・クカラーチャ
ゴキブリはもう歩けないよ
だって、だって、マリファナが切れちゃたんだ
というサビを持つ有名な民謡ラ・クカラーチャは、メキシコ革命当時、北部チワワを基盤とする貧農出身カウディージョ(首領)パンチョ・ビジャの率いる兵士たちが好んで歌ったものだと言われています。
佐々木氏の日本語訳では肝心のサビの部分が全く異なっていることにお気づきでしょう。ゴキブリという意味は、「ラ・クカラーチャ」という日本人には理解できない擬態語のような形であいまいにされ、「マリファナ」という言葉も完全に置き換えられています。「ゴキブリ」も「マリファナ」もそのまま訳すには「刺激的」で、仮に忠実に訳していたら、ここまで日本でもポピュラーな歌にはなっていなかったことが容易に推測できます。少なくとも「みんなの歌」には採用されなかったでしょう。
















