連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.52

原宿〜公園通り〜42歳の12km〜石のベンチ(1/2)

バー・スタイリスト MAC ROMANCE


2008/08/08

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原宿〜公園通り〜42歳の12km〜石のベンチ

例の原宿のバーの営業時間はオフィシャル的には深夜2時までとなっているが、閉店時間なんてあってないようなのがバー営業の常である。閉店時間をすぎてもお客が帰ろうとしないのは居心地がよいからで、むしろ光栄なことと思ってなるべく最後までお相手をするようにしている。そういうことを言うと今度は閉店時間を目指してやってくる輩が出てくる。わざわざ来てもらえるのはありがたいことだけれど、閉店後のなごやかな時間はあくまで本営業のおまけとして付いてくるものであって、そこだけを狙うのは正しい大人の遊び人としてはルール違反なんじゃないか思う。

いつ行っても閉店後みたいな雰囲気の空間を創りたい。とは、師=ケンさんの20年ぐらい前の言葉である。それはいくつかの増幅装置を経由して現在のラウンジ系と呼ばれるカフェやクラブなどの営業スタイルに発展している。別にケンさんがすべての発祥とまでは言わないけれど、少なくともケンさんと同じような考えを持った人物が、東京のナイトライフに影響を与えるポジションに何人かいたことは事実だと思う。

さて、最後のお客を送り出し、グラスやツールを洗ってもとの場所にしまい、売上の集計をして現金を数え、在庫のチェック、床の拭き掃除、トイレの掃除、ゴミ出しなどの閉店作業を終えるとだいたい朝の4時ぐらいになっている。この仕事をやっている限りはトイレの掃除からは逃れられない。そんなものは下働きの者にやらせればよいではないかと言うなかれ、上の者がトイレの掃除をしないような店はろくでもない店である。私は、今はもう働いていないプースカフェに立ち寄った際でも必ずトイレだけはちゃんとチェックする。もし汚れを見つけたら、もちろんその場ですぐに掃除することにしている。

どんなに内容が酷い店でもトイレの掃除を怠らなければ潰れることはないと思う。たいして儲かってもなさそうなのに何故かなくならない店のトイレに行ってみれば私の言うことが本当だということが証明されるであろう。もしあなたが儲かっていない店に携わる者で、経営不信に頭を悩ませているようだったら、とりあえずあなた自身の手でトイレをピカピカに磨きあげてみてはどうだろう。少なくとも失うものはないはずである。

トイレの話がしたかったわけではない。

ようやく閉店の作業が終了し、鍵を閉めて表に出るのが原宿の朝4時。普通の人ならタクシーで帰宅するところであろうが、原宿から家までタクシーを使うと5000円ぐらいかかる。なんだかケチくさい話であるけれど、どうせ5000円使うなら、タクシーよりは飲み代に、と考えるのが酔っ払いの思考回路。どうせ5000円分飲んだ上に泥酔して、結局タクシーで帰るはめになるのは承知なのだけれど、朝4時にシラフでタクシーに乗るというのは、どうもプライドが許さない。





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