エコ情報 銀座ミツバチプロジェクト 第1回

ティースプーン1杯の命(1/2)


2008/08/20

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銀座紙パルプ会館 銀座紙パルプ会館。この屋上で養蜂を始めたところ、近所でカラスを見かけなくなったとのこと

8月に入って最初の休日。銀座4丁目にほど近い11階建てのビルの屋上で養蜂をしている人たちに会ってきた話をしようと思う。その名も『銀座ミツバチプロジェクト』。専門家にアドバイスを受けながらも、養蜂経験ゼロという普通の人びとが集まって養蜂をしているのだ。仕事も年齢もさまざまなメンバーに共通しているのは、銀座とミツバチとハチミツを愛してやまないということである。

夏の銀座の屋上で

強烈な陽射しの中で続いていた採蜜作業(ハチミツを採る作業)が終わりかけた時、養蜂家の藤原さんがカブトムシを持って来た。「フラフラ〜って死にそうな飛び方してたよ。コイツにも今日採れたハチミツをあげよう!」藤原さんのごっつい指にとまったカブトムシは必死でハチミツを吸いだした。「お前はいいところに飛んで来たなぁ!」「そういやぁ、去年の作業中はコガネムシが来たね。」田中さんと藤原さんはそう話しながらハチミツから離れようとしないカブトムシを暫し眺めていた。ミツバチの作ったハチミツを吸ってカブトムシがみるみる生き返る様子を見つめていると、まるで命の交換を見ているようで嬉しかったが、胸が苦しかった。ここが華やかな銀座のど真ん中であり、ビルの屋上だということを私はすっかり忘れていた。

ミツバチの寿命は30〜40日ほどで、1匹のミツバチが生涯かかって作るハチミツの量はおよそティースプーン1杯。黄金色の僅かなひとさじは、まさにミツバチの生命をいただくことである。ミツバチたちが蜜を採るために飛ぶ距離は、3〜4キロメートルなので、銀座のミツバチたちは銀座の街路樹や花壇はもちろん、日比谷公園や浜離宮、皇居まで花蜜と花粉を求めて飛んで行く。このようにミツバチが毎日受粉してくることで、近隣の樹木は実を付け、その実を鳥たちがついばみに戻ってくる、まさにサスティナブルな世界を生み出す立役者がミツバチだった。

春、ソメイヨシノから始まりユリノキ、マロニエ、トチノキなどの蜜が採れはじめ、6月に入るとミカンの風味のハチミツが採れる。ハチミツは花(蜜源)によって色と風味がまるで変わる。特にソメイヨシノのハチミツは糖度が低く、さらさらしていてその香りは驚くほど素晴らしいという。このように多様なハチミツの風味からは、ミツバチたちが受粉してきた数々の樹木とそこから繋がる命のサイクルが想像できる。ミツバチは人と自然の共生を私たちに教えてくれる。

巣箱から取り出したミツバチの巣枠 巣箱から取り出したミツバチの巣枠

夏はぎとモチノキのハチミツ 夏はぎとモチノキのハチミツ

巣箱から取り出したミツバチの巣枠 藤原養蜂所の3代目、藤原誠太さん





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