エコ情報 銀座ミツバチプロジェクト 第2回

ミツバチが“受粉”した人びと(1/2)


2008/09/02

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ミツバチが“受粉”した人びと

自分が食べる野菜を自分で作る!という人が最近私の周りに増えている。しかし、社会に出てからというもの、仕事が忙しいうえに時間もなく・・・「長いこと土なんて触ってないな」という方も多いのではないだろうか? 自分の手で野菜や花を育てると、観るのも、成長を気にかけるのも、もちろん食すことまで、じつはとてもアタマとキモチを使うものだということに気付く。その理由はきっと彼らが言葉を持たず「もの言わぬ生きもの」だからではないだろうか。おそらく、銀座ミツバチプロジェクトのメンバーもミツバチたちと向き合う中で言葉を超えた世界を体験していると思う。もの言わぬ生きものと関わることは、私たちに学ぶチャンスをたくさん与えてくれる。

2回目となる今回は、銀座ミツバチプロジェクトをきっかけに銀座の街で動き出した試みやオリジナル商品を紹介しながら、銀座縁の人びとがどのようにアタマとキモチを使って動き出したかという話をしたいと思う。

銀座のミツバチの協力で生まれた、銀座産の野菜/松屋銀座

ナスの花 / カボチャの花 / パプリカの花 / オクラの花 (左上から時計回りに)ナスの花 / カボチャの花 / パプリカの花 / オクラの花

屋上菜園スタート。スタッフによる苗植の様子 屋上菜園スタート。スタッフによる苗植の様子
画像提供:松屋銀座

このごろの銀座の屋上ではいくつかの新しい試みが動き出している。地域のコミュニティーづくり、生態系をふまえた環境への取り組みなど。銀座の持つ新たな側面が国内外の様々なメディアにも取り上げられはじめている。銀座産のハチミツに続き、今年は銀座産の野菜まで採れるようになったという。しかも、その野菜は老舗デパートの松屋銀座の屋上で栽培されている。さっそく松屋銀座/広報課の矢吹直子さんにお話を伺うべく、現地へ向かった。

「今年の3月から“銀座グリーンプロジェクト”として松屋銀座の屋上で菜園をはじめました。きっかけは、やはり銀座ミツバチプロジェクトに参加したことでした。」と矢吹さん。

「松屋屋上に植えられた野菜やハーブは、銀座のミツバチたちの蜜源のひとつになります。蜜源になる植物は花が咲けば何でも良いというわけではなく、植物と虫にも相性があります。例えば、鮮やかな黄色のウリ科の花、美しい紫色のナスやラベンダーの花などはミツバチが好む花の色です。他にもオクラやパプリカなど、色や種類を考えて植えました。」

しかし、屋上菜園をスタートさせてから初めてわかることも多かったとか。

「当たり前ですが、生きものの世話は大変だと実感しました。草刈りや、水やりなどもありますし、真夏の屋上は本当に暑いんです。猛暑の中の水やりはすぐに土が乾いてしまうため、何度か繰り返します。」

しかし、屋上にあるペットショップのスタッフから聞いた「屋上緑化をはじめてから、目の痛みがなくなった。」という声に、屋上緑化によって起こりはじめた変化のひとつを実感したという。

「それから、屋上というのは結構風が強かったりします。そうすると、安全面への気がかりは尽きることがありません。これには本当に気を使います。ただ、何かあったら・・・ということで何もしないのは問題です。もちろん社内インフォメーションによって理解と協力が得られる喜びと、得られない場合の大変さを痛感しました。」

大きなことを考えるとき、「ムリかも」が付きまとう。しかし、できることから始めるのが大切だと気付く出来事があった。銀座にビルを持つ酒造メーカーが、屋上でプランターを使って酒米を作っているのに出会ったのだ。

「小さなプランターからまず始めていることに驚きました。少しのスペースと少しの気持ちがあれば始められることがあることを知りました。」

ところで、野菜の世話は毎日のこと。仕事に来た上に野菜のことにまで気を回せる人なんていたのだろうか?

「屋上農園スタッフは、社内募集をしました。誰もいなかったらどうしよう・・・と良からぬ心配もしましたが、部署や役職を越えた30名ほどが名乗りを上げてくれました。」これは矢吹さんの予想を超える人数だったという。

「菜園の世話をしてくれる人たちにはいろいろな人がいるんです。社内メールで菜園の情報を発信してくれる人、ペットショップのスタッフは魚の水を換える時についでに水やりをしてくれるし、松屋の従業員ではないのに同じ銀座に働くよしみでご協力してくださる方もいます。この方は野菜に明るいということで私たちのアドバイザー。そしてこの方との出会いも銀座ミツバチプロジェクトでした。おかげで、今は松屋の社員たちも随分野菜に詳しくなりました!」

社員が自分たちの手で土に触れ、野菜を育て、収穫まで体験することで初めて意識が変わると考え、菜園の管理を業者に委託するのをやめた。「自分たちで行動する!」これが社員、ひいては企業の意識向上に結びついていくと信じてのことだった。

「もう、途中からは会社のためだけではなくなるんですね!銀座のためだったり、もっと言えば自分のためと言っても良いくらいでした。」困難なことにぶち当たるたびに矢吹さんの中でこの想いは強まっていった。

ホテル西洋+銀座ハチミツ=銀座はちみつマカロン/ホテル西洋銀座

この秋、銀座でしか味わえない「銀座はちみつマカロン」 この秋、銀座でしか味わえない「銀座はちみつマカロン」
画像提供:ホテル西洋銀座

銀座通りに面した唯一のホテル「ホテル西洋銀座」は、その立地条件の良さもあって海外からの利用客とリピーターが多いことで知られる。1987年の開業以来、高品質な小規模ホテルと、日本旅館のあたたかくきめの細かいサービスを合わせもち独自の個性を放ち続けてきた。そんなホテル西洋銀座も銀座ミツバチプロジェクトの活動を通して、環境と生態系を考え動き始めた。

「このホテルのコンセプトは“きめ細やかさと、心優しいホテル”なんです。」とマーケティング/PR担当の田渕美千枝さんは話始めた。

「このコンセプトを持つ私たちがやらなくてどうするの!」と思いましてね。

「企業として環境への配慮が求められるということは、今や時代の流れとなっています。その中でホテル西洋らしさを持ってできることを考えてみました。」

同ホテルには、ホテルのスイーツランキングで全国第1位に選ばれるほどの人気商品「銀座マカロン」がある。「銀座産のハチミツを使わせていただくなら、是非マカロンに!と思いました。ハチミツの風味を生かすためのクリーム作りには苦心しました。中には銀座ハチミツにぴったりの自家製マーマレードも入っています。」ひとつひとつ手作りで、本当に丁寧に仕上げられている美しいマカロンだ。

しかし、様々な試みを考える一方でそれをスタッフに伝えることの難しさも経験したという。「ホテルには様々なスタッフがそれぞれの想いを持って働いています。そのような中でスタッフ全員の想いをまとめるのは大変なことですし、時間がかかります。時には反発を受けることもあります。それでも根気よく粘り強く説得をしてきました。」

その甲斐あってか、現在では定期的な社内ミーティングが行われるようになっている。今、どんなことが起こっていて、どのような取り組みが必要かということを社内で報告し合い、共に考えることの先に見えてくるのは、ホテル西洋の理念かも知れない。「はちみつマカロンを通して都市と自然の共生をお客様にも伝えていけたらと思っています。」そんな田渕さん、ハチミツを受け取りに紙パルプ会館の田中淳夫さん(銀座ミツバチプロジェクト副理事長)のところへ行くとミツバチや銀座のこれからに想いも話も弾み、あっという間に時間が過ぎてしまうのだとか。最後まで笑顔を絶やさず話してくれた。





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