連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.56
ロマンス道場(1/2)
バー・スタイリスト MAC ROMANCE
2008/09/04
繁華街のカフェで働いていたことがある。いろんな客があとからあとからひっきりなしにやって来る。オーダーをとり、できあがった商品をテーブルまで運び、勘定をもらって、テーブルをかたづけ、次の客を案内する。新しい客のオーダーをとる時には前の客の顔は忘れている。すべてが効率のよい流れ作業で進行していて、まるで工場である。接客もへったくれもあったもんじゃない。このような業態のカフェ(やバー)が方々にあって、それぞれそれなりに繁盛していた。コーヒーは一杯千円ぐらいした。平和といえば平和、狂気といえば狂気の沙汰な時代の話である。
昨今、飲食店を筆頭とするサービス業の接客がなってないと嘆く声をよく耳にする。私自身、客としてずいぶん理不尽な思いをされられていて、それを実感する。お客とダイレクトにやりとりをするサービスマンが、知識も経験も責任も何もないアルバイト諸君でまかなわれているのだから、まあ当然の話なんじゃないかと思う。どんなにすばらしい空間でどれだけすばらしい商品を提供しても、お客との接点にいる者がアマチュアではどうしようもない。超一流の技術を集結させて作ったF1マシンのボディーに自転車のタイヤを装着してレースに挑むようなものである。
喫茶店でコーヒーが一杯300円の時代には従業員のアルバイトの占める割合は現在の半分以下だったはずだ。それに、今日入ったばかりの新人がいきなり重要顧客を相手に対応するような過激なシステムはまだ存在していなかった。アルバイトであれ正社員であれ、新人には修業期間があって、掃除や皿洗いなどの下働きから始めるのが常、そこの掟や習慣を体得し、そこに属するものとして認められてから、晴れて接客サービスへと駒を進めることができるのだ。
















