連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.57

アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス(1/2)

バー・スタイリスト MAC ROMANCE


2008/09/12

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アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス

アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス展」に行ってきた。ハイ・ラグジュアリーを謳い文句にしているKersolで提案されているライフ・スタイルを実際にまっとうするのは、私にとっては夢の中での話なのだけれど、展覧会めぐりはかなり現実的なイベント、高級車や高級リゾートとはあまり縁のない私のような者があこがれのKersolライフを満喫することができる貴重なフィールドである。

20才の頃はロンドンにいて、今よりもずっと貧乏で時間がたっぷりあった。毎日だらだらと無駄に時間をすごしていたものだけれど、ときおり「クリエイティブなオレ」みたいのがふってきて、そういう時には美術館が最適な遊び場になるのだった。

ひとりで行動できるところがよい。映画のチケットの十分の一ぐらいの料金で入場することができ、何時間でもそこにいられる。通常カフェが併設されていて、お茶や軽食を楽しむことができる。展示されている美術もさながら、何よりもその空間に充満しているクリエイティブでアーティスティックな空気の中に身を委ね、体感し、それを吸収するとき、それがうまくいったとき、私たちはとても満たされた気持ちになるのである。

ここで言う「とても満たされた気持ち」のことを、私たちは「ハイになる」とか「トランス状態におちいる」などと呼んでいる。ナイトクラブを訪れて、大音量の反復音楽に身をまかせ、狂ったように踊り続けたときにおとずれるエクスタシーと同意である。そちらは動、こちらは静だけれど、そこに空間とアートがあり、コミニュケーションがあって、体を使って感じるという点で、それらは同意である。

私のお気に入りは「テートギャラリー」で、細かいことは忘れてしまったけれど、イギリスの伝統的な美術作品を中心に各国の近代&現代美術の他、ポップアートの展示にも力をいれていた。来館者の年齢層は他よりも低かったように記憶している。観光客の割合も少なく、私のようにひとりで訪れている(自称アーティスト風な)若者たちの姿が目立っていた。我々の間には、同じ空気を共有しているという同盟感のようなものがあって、そこには言葉にならぬコミニュケーションが確かに存在していた。そう、私たちはまるでナイトクラブに通うかのように、アートミュージアムに足を運んでいたのである。





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