マックロマンス(MAC ROMANCE)
1965年8月東京生まれAB型。1983年単身渡英しプロミュージシャンとして活動する。1988年帰国、バーテンダーに転身。1993年東京都目黒区自由が丘に「プースカフェ」を開店、自ら店に従事する。2003年バースタイリスト活動を開始。バーのプロデュース、カクテルブックの制作など多方面のフィールドで独自スタイルのバーワークを展開... 続きを読む
バー・スタイリスト MAC ROMANCE
2008/09/12
時代はかわって2008年。43才になった私は、いくらなんでも美術館でハイになったりはしない。困るでしょ? 中年おやじが昼間の美術館でモディリアーニなんかの絵の前で腰をくねくねしながら白目むいて口から泡ふいてたりしたら。そのかわりと言ってはなんだけど、美術品そのものを楽しむことができるようになった気がする。美しい色彩にはっと心をうたれたり、細かな筆の軌跡を見て深く感心したり。若い頃はハードロックと思って聴いていたレッドツェッペリン、繊細な職人技のものすごさに気がついたのは、つい最近になってからのことである。
アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼスは、共に「素朴派」にカテゴライズされている。素朴派とはすなわち正規の美術教育を受けず独学で美術制作を始めたアーティストらのことで、多くは生涯の遅い時期にその才能が開花しているのが特徴、ボーシャンの初出展が40代のとき、モーゼズにいたっては80才のデビューと遅咲きにもほどがあるでしょうにと言いたくなるぐらいである。
彼らの別の特徴は「見たものをそのまま描く」という点で、例えば風景画。1. 目の前の木に焦点を合わせて描く。2. 背景の木に焦点を合わせて描く。3. さらに背景の空にも焦点を合わせて描く。結果、すべてに焦点が合っていて奥行きがなく、現実には絶対存在しない何とも不思議な世界観を持った風景画ができあがることになる。作者がディテールにこだわればこだわるほど、それは現実からどんどん離れていく。ストレートであることが逆にリアリティーを損なっていくという矛盾が生み出す美しい世界が、何でだか私たちを強く魅了するのである。こればっかりは正しい教育を受けたものには絶対に真似することができない。何故なら「素朴派」の純朴さは無知が故のこと、知っているのに知らないふりをするのはフェイク、無知にさえチャンスが与えられる美しの神の何とありがたいことか。
私が何を言いたいか、そろそろわかってきたでしょう? そう。バーテンダーマックロマンスの話である。我輩は師をもたず、どこの流派にも所属せず、当然バーテンダー協会などとは無関係、カクテルブックですら無縁、すべてを我流の独学でこれまでのスタイルを築いてきた。目の前の酒のディテールにこだわり、それをどのようにすれば美しい水にすることができるかということだけに着目してきた。そう、私は「素朴派」バーテンダーなのである。
と言いたいところだけど、方々から情報が入ってきちゃってね。けっこう一生懸命本読んで勉強しちゃったりした時期があるんだよね。結果、根本的な無知と中途半端な知識があいまった、なんだかぱっとしないバーテンダーになったのである。自分に誇りはないけれど、作った酒でお客が喜んでくれれば、まあそれでいいんじゃないかと思っている。おお、神よ。凡人には凡人の存在意義というのがあるのだ。

1965年8月東京生まれAB型。1983年単身渡英しプロミュージシャンとして活動する。1988年帰国、バーテンダーに転身。1993年東京都目黒区自由が丘に「プースカフェ」を開店、自ら店に従事する。2003年バースタイリスト活動を開始。バーのプロデュース、カクテルブックの制作など多方面のフィールドで独自スタイルのバーワークを展開... 続きを読む