連載コラム ライフスタイル 【小西康隆の『小粋の哲学』】 Vol.20

都会にちょっと疲れたら、小さな旅に出よう。秋の軽井沢も格別だ。(1/2)

(株)インタープラネット プロデューサー 小西康隆


2008/09/30

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初秋の軽井沢へと小さな旅をした。東京から比較的簡単に行けるので、昔は頻繁に出向いていたがゴルフをやらなくなってからは、クルマをかっ飛ばして行く事も滅多になくなった。恵比寿から埼京線に乗れば、大宮まですぐだ。そこから新幹線あさまに乗れば40分足らずと、あっと云う間に軽井沢である。読まずに溜まっていた本を数冊鞄に放り込み、後は自由気まま気の向くままにと時を過ごす。

電車での旅は車内に乗り込んだ処から、リラックスなのが良い。ハンドルを握る緊張感から解放され、独り旅の憩いを持参した酒で癒すのだ。スキットルに入れたシングルモルトのタリスカー18年を舐めながら、文庫本のページをめくる。丁度、短編を一話読み終える頃、列車は軽井沢駅に着いた。

改札を抜け、外へ出ると冷んやりとした風が顔に当たる。こちらはもう本格的な秋だね。空気も澄んでいるので、夕日がとても大きく映るのだ。この夕暮れの赤い陽を眺めるだけでも来た甲斐が有るってもんだ。

旧軽井沢

駅前の軽井沢本通りをのんびりと歩き、旧軽井沢方面へと進む。この辺りは万平ホテルやホテル音羽の森、つるや旅館など、古き良き軽井沢の面影を残す宿も点在しているので落ち着ける。この日は、どこも混んでいたのだが、タイミングよくホテル音羽の森でキャンセルが出たとの事だったので、部屋を取る事が出来た。此処はレストランが大変評判が良く、予約が無いと入れない事も多い程だ。

チェックインを終え、旧軽井沢へと散歩した。それにしても、ちょっと来ない間に随分と新しい店も増えている。信州味噌が評判の酢重正之商店が出した和食店「レストラン 酢重正之」の前には行列が出来ていた。ロータリー前の蕎麦屋「川上庵」もイイネ。自家製粉の粗挽きそば粉の香りを楽しみながら、酒を嗜める良い店だ。

すっかり日も暮れて、腹も減ってきた。タクシーで離山通りを抜け創作和食の店「Ogosso」へ。軽井沢で仕事をしている友人に予約して貰ったのだが、まず予約が取りにくい店だと聞いた。オゴッソとは信州の方言で「ご馳走」の事だそうだ。さぁ、どんなご馳走が待っているのだろうか。

中に入れば、噂に違わず大盛況だ。地元の人たちよりも軽井沢別荘族ご用達しだそうだ。ひっきりなしに予約客が訪れて来る。出される料理も絶品だが、何よりも店主の柳沢俊明さんの人柄が人を惹き付けて止まないのだろう。皆から「俊ちゃん」と声が掛かり、あっちこっちの席で笑顔のキャッチボールをしているのだ。そう、さながら軽井沢の「なるきよ」って感じだろうか。料理もお任せにして、美味しい軽井沢の旬をアテに酒を嗜んだ。

ぎたろう軍鶏スキ

地元で採れた旬の野菜をそのまま茹でたシンプルな料理は素材本来の美味さを堪能する事が出来た。日本酒も進み、心地良くなって来た頃に、此処のイチオシ名物「ぎたろう軍鶏スキ」が登場だ。オゴッソが取り扱うシャモは長野県上伊那郡辰野町で飼育された鶏だ。プリプリでジューシーな軍鶏のもも肉やレバー、砂肝、鳥皮などが特製の割下でグツグツの煮込まれる。浅間鳥牧場の朝取れ卵を溶いたお椀を片手にジッと待っていると、一番美味しい頃合いに肉や野菜をお椀に入れてくれるのだ。もう、至れり尽くせりで参りました。心行くまでシャモスキを堪能したら、最後の仕上げはおじやなのだ。程よく甘い汁には軍鶏の旨味がたっぷりと濃縮されており、極上のおじやが出来上がる。





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