グルメ情報 一軒家レストラン【From Kersol Magazine】
夜ごと繰り広げられるスペイン料理の晩餐
小笠原伯爵邸 新宿区河田町
2008/10/22
新宿区河田町の閑静な街並みに、2002年、75年という長い歳月を経て、スパニッシュ様式の館が甦った。小笠原家第30代当主、小笠原長幹伯爵(旧小倉藩主)の本邸として昭和2年(1927年)に竣工したこの館は、戦後は一時GHQに押収されるなど様々な歴史の過程を経て、2002年6月からレストランとして再生を果たした。
クリーム色の外壁にはエメラルドグリーンのスペイン瓦。窓には鉄格子の飾りが施され、これほどまでに完成度の高いスパニッシュ建築は日本でも稀だろう。驚くべきは、この建築が当時からスパニッシュ洋式を用いて建築されたことだ。施主である小笠原伯爵の海外経験の豊富さと芸術への造詣の深さ、また建築家の曾根達蔵の高い技術には脱帽せざるを得ない。
実は、日本で初めてスペイン料理のコースを提供したのがここ、小笠原伯爵邸だ。腕を振るうのは西村純一シェフ。シェフは和食店で料理に興味を持ったのをきっかけに、その後単身でスペインへ渡った。セビリアのレストランや、あのエルブジで修行し、スペイン料理の伝統を知り抜きつつも斬新で繊細な料理を造り上げている。フランス料理が味や飾りを足していく料理であることに対し、スペイン料理は引き算の料理。技術の発達により、バターなどを用いなくても素材の新鮮さを保ちつつ調理できるようなったため、料理にはエスプーマや真空調理など、現代ならではの調理法も積極的に取り入れる。伝統に則りつつも、時代の最先端をいく料理。素材の持つ旨みを限界まで引き出す見事な技を、思う存分楽しみたい。
一軒家、しかも1世紀近くもの歴史を経た建物でしか味わえない、究極の世界観。ひとたび足を踏み込めば、自分がいる場所、時代を全て忘れてしまう。その雰囲気と料理に心から酔いしれたい。
館の最大の見せ場 イスラム風喫煙室
重厚な調度品が置かれたラウンジ
長崎五島産いさきのプランチャ
















