連載コラム グルメ 【マックロマンスの遊牧民的バーライフ】 Vol.66
Gのアジトを巡る小旅行(1/3)
バー・スタイリスト MAC ROMANCE
2008/11/14
午後8時20分。渋谷の東急プラザ前。いちばんのりは私である。私は仲間うちでも遅刻をしないということで通っている。実際、仕事のときはもちろん、プライベートでも約束の時間に遅れることはまずない。時間厳守がモットーだと言いたいところだけれど、そうでもない。基本的には自分に甘い方だと思う。私が遅刻をしないのは、たぶん、待ち合わせ場所に先に着いて、人がやってくるまでの時間が好きだからだと思う。私はそういった“すきまの時間”に妙な愛着心があるのだ。
もっとも、今夜は私がそれを楽しむほど、時間にすきまがあるわけではなかった。私の到着からほんの30秒後にMr.シックスが、その数秒後にMr.ファイブとMr.スリーが登場、ほどなくMr.フォーも姿を現し、会長のMr.Gを除くメンバー全員が待ち合わせ時間の8分前にはきっちり顔を揃えていたのである。
ここがすばらしい。何がすばらしいかって、例えば、我々の行動をカメラで撮影して映画を作ることを想像して欲しい。我々は全員、待ち合わせ時間の10分前から1分半の間に登場した。つまり、このシーンは無編集のノーカットでそのまま使うことができる。皆がばらばらに登場したのを切って貼って編集した映像に比べて、ぐっと緊張感の漂ったシーンになるに違いない。
Mr.Gの登場は、絶対に最後でなくてはならない。画面は夜の渋谷の街をぼんやりと映し出している。ほどなく雑踏の中から、Mr.Gが姿を現す。すべての音が消え、いつしかソロのソプラノがフェードインしてくる。カメラがMr.Gにフォーカスする。もちろんここはスローモーションだ。夜風になびく黒髪、眼鏡のレンズに反射するネオンや車のヘッドライト、永遠のホワイトデニム、ポケットにつっこまれた長い腕。ここで観客は「うわあ。かっこいい。かっこよすぎる。」と思わずため息をもらしてしまうのである。
そんな風にして夜が始まった。今夜の目玉は何と言っても新メンバーのMr.ファイブとMr.シックスの合流である。特にMr.ファイブとMr.Gは日常生活において数回顔を会わせた程度の面識しかない。豊富な知識を持ち、美しい言葉を巧みに操るMr.Gと、天才でシャイ、理系なのに詩人、デジタルヒッピー=Mr.ファイブがどのようなトークを展開するのか、考えただけでもわくわくする。
photo by SATOSHI KINOSHITA
















