「ふふ」。柔らかでたおやかな、なんとも不思議な響きである。一度耳にしただけでは、これが旅館の名だとは思わないかもしれない。
「ふふ」が位置するのは、古くから温泉地として栄えた熱海。雑然とも言える熱海の街中の、まるで迷路のような小さな道路をいくつか曲がりようやく「ふふ」に辿り着く。道標があるわけではない。入り口にすら、ここが旅館だと示す案内はない。まさに、熱海の街中にひっそりと溶け込んだ隠れ家なのだ。
春先、熱海桜を独り占めする露天風呂が自慢の「篠」(しの)の客室。春先にはつがいの鶯が木々に遊ぶ
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