辺りが薄闇に包まれる頃、ここで夕食の時を告げるのは時刻ではなく、厨房から漂う匂いである。それは食欲を刺激すると同時に、郷愁めいたものを感じる瞬間だ。幼い日、夕闇の中の帰宅途中、家々の台所から聞こえてくる夕食の支度の物音。そんな懐かしい記憶を胸に「翠松園」の入り口をくぐる。古き良き建築美をそのまま残した建物には、11室の個室やプライベート感を重視したテーブル席があり、どの席からも庭園の景色を愉しむことができる。
料理はしっかりとした和をベースとしながら、オリジナルなアイディアを盛り込んだ懐石。素材の吟味、調理法、技術、そして盛りつけ。どれをとっても一切の妥協のない料理は、翠松園の凜とした空気に見事に調和する。
朝食は洋食か和食か選べるがぜひ和食をお勧めしたい。1杯の絞りたてのフレッシュジュースが目覚めさせた身体に、煮物や手作りの豆腐など滋味溢れる食事がしみじみと染み渡るようだ。
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